[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック

葉月(August)

1999


●ゆかたを夏の普段着に

●むはは的夏の日々


●ゆかたを夏の普段着に

 もう何年も、ゆかたを着ていなかった。その理由のひとつには、帯を自分で結べないということがある。

 なにもゆかたに限ったことではなく和服全般にいえることだが、着付けを自分でできなくてはなかなか着る機会がないものである。私は母親や祖母から譲り受けた着物をいくつか持ってはいるものの、ほとんど着ないまま押し入れの茶箱に入れっぱなしである。うーん、そういえばここ数年は陰干しもしていない……。譲り受けたあと数年は「着付けを身に付けよう!」と意気込んでいたものの、いつしかその誓いは空しいものとなっていったのであった。

 ところが、今年は心強い着付けの師匠を見つけた。仕事先のTさんは、「日本の女たるもの着物ひとつ自分で着られないでどーするの」という、見かけによらぬ大和ナデシコ。いや、失礼。普段はちゃきちゃきした元気者なので意外といえば意外なのである。盆暮れは家族そろって和服が昔から常識、という家庭に育ったらしい。

 彼女の提案で、「夏になったらみんなでゆかたパーティしましょう!」という計画が、もう6〜7月頃から何度も話題にのぼっていた。仕事場の男性たちはどうも冗談のひとつだと思っていたらしいが、やりましたよ、この度、本当に私たち。

 その日は仕事は早々に切り上げて、夕方から着付け師匠によりゆかたを着せてもらった。本当は4名そろってゆかたで出かけるつもりであったのだが、下駄など小物を持ってきていない人もおり、着たのは結局、私ともうひとりだけではあった。着せてもらったもう一人も嬉しそうである。

 自分で着られることが私の目標ではあったけれど、なんだか今回はされるがままに着せてもらっていた。帯は後ろ側で結んでもらってたので、次回自分でできるかはまったく自信がないが、今度は自分でもやってみよう。

 事務所にいた男性ふたりの存在を忘れ、女たちは浮かれまくっていそいそと着付けと化粧をする。「ゆかた着てどこ行くの?」と聞かれ、「すし屋」と答える私たち。「それだけ?」とあきれられた。いいじゃないの、ゆかたですし屋、粋でしょう。みんなで一緒に行こうと誘うが、恐れをなしたのか無視されてしまった。

 タクシーで、仕事先の社長が接待などでよく利用する新宿のすし屋、Yへ向かった。意外と安く、旨いところなのである。私はあまり行ったことがない店だったが、着付けの得意なTさんは先週も来ていたらしい。なにやら、コハダの稚魚のにぎりが旨いらしい。カウンターに座るとつまみが数品いろいろ出てくる。まずはビールで乾杯。それから店主のおすすめにぎりが次から次へと……。赤身、ウニ、ヒラメ、鯛、鰺、ホタテ、赤貝……もう、ふだん賑やかな面々もひたすら無口になり黙々と食べる。しばし発せられる言葉は「おいっしい……」というつぶやきや、うっとりとせつないタメイキばかり。ああもうダメ、私トロけそう、とばかりに身悶えるのであった(椎名誠エッセイ風表現)。おいしいものを食べるって至福のひととき。例のコハダの稚魚もいただく。私はヒカリモノが苦手なのであるが、それはもう全然生臭さもなく、やわらかくて、なんといういかもうまったりと舌の上から食道、胃へとすべりぬけていき、身体の全器官がただひたすら「お、おいしいぃ……」と細胞をうち震わせるような味わいなのであった。

 食べながら、店主や着付け師匠Tさんから、着物を着たときの仕草についての講釈も拝聴する。最近は家族でそういうことを教えてくれる人も減ったんだろうなあ。だからだろう、若い子がいくら奇麗に着物を着ていても、仕草が洋服の時のままだからどこかだらしなく見える。そうすると、ゆかた着てても相撲取りみたいになってしまうよねー。

 最近は現代風に着こなすのが浸透してきたみたいで、足元はサンダル風の下駄だったり、髪飾りとかもイマドキのものを合わせている子が多い。そうすることで若い子も着物を着るようになるのはいいことだと思うけど、なんか外国人が浅草で買った薄手の着物を着てる雰囲気が漂っている。現代風に着こなすならそれなりに、カッコよく見えるように着て欲しいなあ。そういう私も自分で着られるわけではないので説得力がないけれど。

 江戸っ子の店主は、もちろん自分で帯も結べるらしい。男の着流しも粋でいいねえ。自分で帯結べる男の人も少ないんだろうなあ。

 私もゆかたや着物を普段着感覚で粋に着られるようになりたい。修業の道のりは始まったばかりである。この夏、あと2回は引き続き“ゆかたでお出かけ”の会をするぞ。ああそれにしてもすしを食べ過ぎた……。
(8/17up deted)


●むはは的夏の日々

 ここのところ、夜はずいぶん涼しくなってきた。気づけばもう8月最終日である。残暑はもう少し続きそうな気配だが、夏が終わってしまう……。今年も夏らしいことをせずに夏が過ぎてしまった。泳いでいない。雨で順延になったから花火大会にも行っていない。ゆかたは着たけどお祭りには行っていない。宿題もしていない。あ、これは学生じゃないので当たり前。まあ、自由課題は山ほどあるけれどね。

 そうだ、先週花火だけは少し見た。土曜の夜、洗濯をしていたら、花火の音が鳴り響き始めた。どこでやっているのだろうと外へ出て見回してみると、住宅街の屋根の上に花火が咲いた。その日は部屋の中の方が暑いぐらいだったので、しばし外で“屋根の上の花火”を眺め続けた。隣のマンションの階段で同じように花火を見ている子供たちが、大きな花火が上がるたび歓声をあげた。
 そんなふうに、劇的なこともなく平凡に過ぎていった、この夏。

 今年の夏の読書生活はというと、椎名誠さんにお会いしてからというもの、椎名さんの本ばかり読んでいた。私は一人の作家の本をたて続けに読むくせがあり、今回はしばらく椎名さんづくしであった。昔読んだかもしれないけどまた読むもの、もしかして初めて読むものなどなど。あやしい探検隊のアフリカ行き(「アド・バード」の終盤がアフリカで書かれていたとは知らなかった!)、島行き、モンゴルの映画を撮った頃のエッセイ、エトセトラ……。自分は旅してなくても、旅した気分にひたれるのだった。

 椎名さんの本には必ず「ビール」という言葉が魅惑的に何度も何度も登場する。そして、「あやしい探検隊焚火発見伝」では、探検隊の名料理人・リンさんによる料理解説&写真付き。リンさんの料理をあやしい探検隊の面々が酒をかっくらいながら食す、という様子が面々と綴られている。そのような本を読んでいると、必然的に私も「ビール、ビール」という単語が頭から離れず、常にビールが飲みたくなってしまう。加えて連日の猛暑。さらに加えて、大量にいただいたビール券。これはもう、私に「夏はビールを飲みなさい」という天の声、とばかりに夜になるとビールに手が伸びてしまう私であった。

 だから気持ちとしてはホームページの更新を……と日々思うものの、仕事から帰ってきてちょっとビールでも、と思ってると気付くと寝ていたりするのでした、と言い訳。仕事して移動中は本読んで、夜はビール飲んで、と、気付くと完璧に「おやじ的夏の過ごし方」。いいのだろうか、このままで。ビール券でビール買って、仕事先の人たちとお食事しながら飲もうと思ってるのになかなか皆の都合が合わない。早くしないと、全部私が飲んでしまいそう……。

 まっ、遅れた夏休みを取りいよいよ沖縄へ行く日も決まったし、それまで頑張って仕事しまっす。沖縄のオリオンビールでゴーヤーチャンプルーとか食べるのも楽しみだったりして……。ああ、酒びたりの夏の日々。

(8/31 up dated)

※次回更新予告

先日試写会で観た「グロリア」についてなど。
ほか、構想はあるものの筆進まず(いつものことですみません)。


《お帰りはこちら》
▲HOME ▲F-FILE  ▲sesami's travel ▲カメライダー▲すれすれ草 ▲レッツ・リンク