●9月8日/マック入院
仕事に使おうとマックの起動スイッチを押すと、反応しなかった。押し方が弱かったのかと思い、何度か押し直したけれど画面は真っ暗なまま、起動音もせず。いやな予感。そう思いたくはないが、も、もしや壊れた!?
結局、どうやら壊れたようだということで、わが家のマックは療養入院。まだ買って1年経ってないのになあ。そんなわけで、約1週間マックと離れ離れ。仕事は知り合いの事務所のパソコンを借りて行なうことができたけど、メールは最近すっかり私の生活の一部だったので、禁断症状が。ううう。
●13日/マック退院
やっとマックが療養を終え、退院。中のロジックボードが壊れていたとか。保証期間中だったから無料で済んだけど、保証対象外なら10万は修理代にかかるそうだ。高すぎる……。梱包をといてさっそくメールをいじってみるがインターネット接続の設定内容が変わってたので、再設定にひと苦労。
●15日/Ukikoライブ at 原宿ルイード
友人でありミュージシャンであるukiko、原宿ルイードにてライブ。インターネットテレビの取材も来るらしい。出演前の楽屋を訪ねる。Ukikoはリラックスしたジャージ姿である。「ステージには化けて出るからね」との言葉どおり、本番に出てきた彼女はまさしく化けていた。金髪のロングヘアのカツラ。肩出しの真っ赤なミニドレス。登場したのを見た瞬間、椅子からずり落ちそうになってしまった。よくまあ化けたもんだ。
ところで、私は彼女の歌はこれまでCDでしか聴いたことがなかった。あ、1回カラオケにも一緒に行ったか。でも、その日の彼女の歌は、これまでの印象とはまったく異なるものだった。正直いうと私、ぶっとびました。バックにファンキーなホーンセクションを従え、堂々とした歌いっぷり。全曲英語で、それはまあCDもそうだったんですが、なんだかその日の彼女の歌には気合いたっぷりなファンクさがあって、少し感動してしまいました。マキシシングルで発売(インディーズ)した「Discovery」、その日はじめて聴いたのですが、いやあ、何と表現したらいいのでしょう。イントロから、ぐわっしとハートをわしづかみにされた感じ。ホーンセクションやギターの音の渦にのって始まるイントロ! もうなんていうか、めちゃくちゃかっこいい。私ゃ音楽評論家ではないのでうまく表現できないのでくやしいのですが、えーいもう、表現投げます(なんていい加減なわたし)。お分かりにならない方は、だまされたと思って一度聴いてみてください。彼女のホームページで聴けます(→リンクページから行けます)。でもきっと、生ライブのほうがいいよ。
●読書の秋に/いつまでも読み終わりたくない本
(遅ればせながら読んだ、山田詠美著・「ぼくは勉強ができない」のこと)
私にとっての、いい本の基準はふたつある。
ひとつは、面白くて面白くて、早く読み進みたくて、食事中でも電車の中でも、そして仕事中でもその本のことが気になってたまらない本。少しでも時間があれば手にしてしまう本。最近ではパトリシア・コーンウェルの、検屍官シリーズなんかがこのタイプ。
そしてもうひとつは、いつまでも読み終わりたくない本。春の朝に、いつまでもぬくぬくと布団のなかでまどろんでいたい感じ、そんな春眠暁を覚えずタイプの本。
山田詠美著・「ぼくは勉強ができない」は、私にとってはそんなタイプの本だった。
1日もあれば十分読み終わりそうなその本を、私は数日かけて読んだ。いつまでも読み終えたくなかった。でもどんなにゆっくり読んでも、読み終わってしまった。そうしたら、少し寂しくなった。そんなタイプの本との出会いは久し振りだった。
何が私をそんな気持ちにさせたのだろう? それは主人公の高校生、時田秀美くんのキャラクターの心地よさにある。そして、彼を中心とした周囲の人間も。こんな人たちが周りにいたら面白いのに、という気にさせてくれるのだ。そしてストーリーを追いながら、いつしか、自分の高校時代に彼等がもしいたらどんなだったろう? などという思いが無意識のうちに交差していたのかもしれない。目は確かに文字とストーリーを追っているのに、なんだか夢見ているような感じだったのだ。私の過ごした高校時代は本のストーリーとはちっとも似通っていないのだけど、読んでいる間、なんだかもう一度高校時代に戻ったような気がしていたのだ。
山田詠美はあとがきでこう書いている。「主人公の時田秀美は高校生だが、私は、むしろ、この本を大人の方に読んでいただきたいと思う。叙情は常に遅れてきた客観視の中に存在するし、自分の内なる倫理は過去の積み木の隙間に潜むものではないだろうか。(中略)進歩のない自分に驚くと共に、人には決して進歩しない領域があるのだと思ったりする。私はこの本で、決して進歩しない、そして、進歩しなくても良い領域を書きたかったのだと思う。大人になるとは、進歩することよりも、むしろ進歩させるべきでない領域を知ることだ」。((c)山田詠美)
なんとなく分かる気がした。読み終わってしまったときに感じた、胸がつまるような思いは、彼女がいうところの叙情だったのだろうか。もうすっかり私は大人になってしまっていろいろと変わったのだけれど、自分のなかで進歩しない部分、というのをときどき意識していたりした。それがいいことなのかどうなのか、よく分からなかったのだけど、そのあとがきを読んで思った。変わらなくたっていいじゃーないかと。仕事や社会生活に迷惑をかけるようなことじゃ困るけど、それ以外だったらいいじゃないかと。ここまで読んだ方は、あなたの進歩しない部分ってどんな部分? という疑問もあることでしょう。でもここでは語りません。それは秘密です。じゃー書くなって?
また、逆に、「大人になって変わるのはどういうことか」と考えたりしてたらこんなことが思い出された。それはこうして書くのはなんだかハズカシイことであるが、片思いしてた男の子の言葉だ。ユーモアのあるスポーツマンで、けっこうな人気者だった。今でも覚えているのが、中1のホームルームの時間か何かで、一人3分スピーチというものを交代でやらされていたときの彼の発言。「あんまり年をとって人の世話になって死ぬのはいやなので、50歳ぐらいで死にたい」。中学生だった当時の私は、まったくだと強く共感した。だからこそ今でも覚えている。でも今の私は、50代で死にたいなんて思えない。人の世話になるのは嫌だけど、少なくとも50歳は越えたいと思う。生きる年数じゃなくてどう生きるかだよな、なんて思いつつ、もし50歳までしか生きられないのだとしたら、なんて仮定すると、まだかなり先のことだとは思いつつ、それまで出来ること、すべきことなど、いろいろ考えてしまったりする。大人になるってことは、こういうことかなのかもしれない。
その時私は、ある事実に気付き、ヒロに尋ねた。
「……ねえ、なんで私のベッドにいるの」
所は舞浜ベイエリアのリゾートホテル、オーシャンビューの一室。風呂あがりにマッサージを受け、部屋に帰ってきてビールなんか飲んでいた。カップルなら非常にロマンチックなシチュエーションであろうが、あいにくと私とヒロは女同士だった。お互い8月に夏休みを取れなかったので、9月の半ばの空いてる時期にホテルのレディースプランでのんびりしようと私が提案したのである。そのロマンチックなホテルの一室で、私とヒロは気付くとひとつのベッドの上で並んでテレビを観ていたのであった。
ヒロとはもう長いつきあいで、何度か旅行をしたこともある。しかしこのような事態は初めてだった。
「もしや、ヒロったらそういう趣味が!?」
私は内心、緊張を感じつつ冗談混じりに叫び、身を固くした。
するとヒロは答えた。
「コンタクト外したら、あっちじゃテレビが見えないのよー」
よかった。あやうく洒落にならない落ちになるところだった。“実は私、今まで言えなかったけどずっと……”なんて告白されたらどうしようかと思ったよ。
「そういえば前さあ、ペンションでバイトしてた人が、男同士の宿泊客の部屋のベッドメイキングに行ったらベッドがひとつしか使ってなかったっていうこと聞いたよねえ」
などという話で笑い合った。
そのうち、入浴後に受けたマッサージの話になった。私たちは二人とも本格的なマッサージを受けたのは初めてだったのだが、その技に感激してしまったのだ。さすがプロ。以前、いとうせいこう氏&みうらじゅん氏引率の「見仏ツアー」に行った時、仏像の足元で踏まれている“邪鬼”をネタにした“邪鬼マッサージ”を考案した私だが、そんなものはとても及びもしない指圧技だった。普段パソコンを使うことが多いので肩凝りは自覚していたけれど、肩に触れたとたん目の不自由な男性のマッサージ師さんは「うー、これは……」と絶句。やはり、と「凝ってますか」と言うと、「凝ってるなんてもんじゃないです」とのお言葉。あまり凝りが慢性化すると脳の血の巡りも悪くなるのだという恐ろしい助言を聞きながら、肩から首を中心に揉みほぐしてもらった。終わると、肩がすごく軽くなった。さすがだ。
ヒロの肩凝りも相当なものだったようだ。彼女が聞いたことによると、触っただけで筋肉の太さまで分かると彼は言ってたそうだ。
最初は足のマッサージにしようと思っていたのだが予約が夜中まで一杯で、上半身のコースにして彼の担当になったのだが、逆にそれが幸いだったかも。
日本のシティホテルってあまり泊まる機会はなかったけど、こういうのも時にはいいものだ。ディズニーランドで久々に丸々一日過ごした肉体的な疲れも、日頃のうっぷんや仕事による精神的な疲れもすっかり癒えたのでした。
翌日、オーシャンビューの部屋の窓から、素晴しく青い海と空を望む。テラスに出ると、下方に見えるガーデンチャペルでは分刻みで次々と挙式が執り行われていた。周囲のテラスをふと見渡すと、見事にカップルばかりがいたのであった。
四方八方からラブラブ光線で攻められ、「私でごめんね」とお互いにつぶやきながら窓を閉める2人であった。まあいいのさ、時にはこんなバカンスも必要なのさ。
《お帰りはこちら》
▲HOME ▲F-FILE ▲sesami's
travel ▲カメライダー ▲すれすれ草 ▲レッツ・リンク