カナダから4年振りに里帰りしたハルの帰国以来、初めて友人たちと一緒に集まる。メンバーはハルの留学時代の友達・リカと、高校の同級生のミカ。子連れでも楽しめるよう「新宿高島屋のアイマックスシアター」で海の生き物の映画を観よう、と私が提案し決めたのだが、子持ちのハルもミカもしっかり子供を親に預けてきた。「会話がほとんど無い映画っていっても、観てもまだ分かんないかもしれないし、途中でぐずったら面倒だし」というのが二人の言い分である。そうか、そういうものか。
まあとりあえず、久し振りの友人たちとの再会を祝いつつ映画館へ。入口でゴーグル付きのヘッドフォンを一人ずつ手渡される。これを付けると3Dの立体画面とリアルな音響で映画が観れるのだそうだ。私は以前に別のテーマのものをそこで観ていたのだが、あの大画面で海の生物たちの姿をぜひ観てみたかったのだ。
始まってしばらくは、目のすぐ前で海草が揺れたり、魚がひゅっと向きを変えてこちらへ泳いでくるのにいちいちびっくりしていた。もしこれで「ジュラシック・パーク」でも観たらえらいことになるだろう。しかし映画の中盤からは、磯ぎんちゃくが海底を延々と埋め尽くす不気味な映像が続き、ちょっとうんざり。ストーリーらしいストーリーがないなら、映像美でもってひっぱってもらいたいものである。これは子供を連れてこなくて正解だったかも……と思った。もっときれいな魚がたくさん登場するかと思っていたので、残念。今後のプログラムはもう少し検討していただきたいものである。あれではリピーターが減るよ。
案の定、ハルはぐっすり寝ていた……。
高島屋とハンズをぐるりと見て回り、食べたりお茶したりして、夜の部へ移行。仕事帰りのU子とカラオケBOXで合流し、久々に高校の同級生が揃う。子供ができて以来ほとんどカラオケに行ってなかったというハルのレパートリーが、数年前と変わってなかったのが懐かしかったりする。以前は毎週のように歌い込んでたのになー。4年ぶりに日本に戻ってきたハル、ハモリ機能付きのカラオケに感激する。ハルとリカは留学体験の強みで英語の歌を連発。残りの面々は、新旧取り混ぜた好き勝手な歌を歌いまくる。
その後居酒屋へ流れるが、主婦・ハルとミカは「居酒屋なんて久し振りよー」と嬉しそうであった。人間、ささいなことで幸せを感じられるものである。
ハルの帰国祝い第二弾、ディズニーランドへ。ハルと娘のリナ、ハルの妹、ミカとその息子ナルと共に。子連れだとこういう行き先になりがち。それにしてもディズニーランドなんて、何年ぶりだろう。私たち大人は入口でミッキーマウスやミニーと記念写真を撮るべく追いかけ回していたが、子供たちはおびえて大変である。ミッキーやミニーはまだしも、狼や3匹の子豚、金髪のアリスなどが近くにくると、喜ぶどころか泣く泣く。ハルとかはそんな我が子を笑いながらビデオに撮ってたりする……。でも子供たちは真剣に怖がっててぼろぼろ泣く。「喜ぶと思ってたのになー、なによ嫌がっちゃって」とミカはぼやくが、まあ3歳前後ぐらいだとそんなものなのでしょうか。
ミカとハルが子供の乗りたいものを自分より優先している姿を見て、私は感心する。「私なら自分の乗りたいもの乗っちゃうけどなー」と言う私に、「子供産むと変わるって」とハルは答える。女王様だったあのハルがそう言うぐらいだから、そうなのであろう、たぶん。
お子様の好むアトラクションをひととおりめぐり、時は夕暮れに。疲れて寝てしまった子供たちをレストランのソファーに寝かせ、大人たちは交代でパレードを見にいく。目覚めた頃には、子供同士はすっかりうちとけあっている。大人たちは「将来この二人、つきあって結婚したりしたら私たち親戚だよー」などと勝手なことをいいあってるのも知らず……。
ディズニーランドの教訓、子連れで遊びに行くときの主役は子供である。
帰りの電車はハルの娘リナが私にすっかりなついて、リナにとって私はほとんど友達扱い。平日のすいてる電車の中とはいえ、「犬のうたいっしょにみんなで歌おうー、3人でー」にはまいった。「えー、犬のうたなんて知らないなあ」とごまかしたのだが、リナは「しらない? あのねー、こうだよ。いぬのーおまわりさーん、こまってしまってわんわんわわん……」と大きな声で歌い出す。こまってしまうのはこちらである。向かいの席のサラリーマンとか笑って見てて、あー恥ずかしかった。
ディズニーランド以来すっかりうちとけたハルの娘・リナとともに近所でハルと会う。「子供いると普段あんまり買い物できないからさー」と言うハルと、あっちこっちの洋服を見てうろうろ。しかしリナは面白くない。「お腹空いたー帰ろうー」とリナがぐずりだすので、「じゃあドーナツ食べようか」とドーナツショップに落ち着く。でもハルが「もう一回さっきの店見てきたいなー」というので、「じゃあ私ここでリナと待ってようか?」と、つい言ってしまった。一人で他人の子を預かるのは幾分不安であったが、そこはもう私とリナは友達である。しかし2人になったはいいが、ハルが私とリナにと買ってくれた2個のドーナツを、リナは両方とも自分のものだと思い込んでいる。だが私もお腹が空いていた。子供相手に食い物のことでけんかしてもしょうがないので「私にもちょうだいー」とおねだりし、リナのかじりかけのドーナツを食べる。
数日後にハルたちはカナダに帰る予定なので、その日が一応お別れの日だった。またしばらく会えないだろう。別れ際にリナが私を見上げて「バンクーバーに、来てね」と手を振る姿がなんだか微笑ましくてせつなくもある。「そうだね、またね」と答えながら、改札の向こうに見送った。今度会えるのはいつかな、それまで覚えててくれるかな。
インターネット接続完了。嬉しくて4回ぐらい接続してしまった。自宅でインターネットを始めたらまず見たかったのが、いとうせいこう氏のホームページ。隠しページの中の「ボタニカルライフ」という植物エッセイが特に好きなのだ。特に「2月の水草」が愉快で、読んでいて私は一人で爆笑してしまった。すぐに鉢植えを枯らせてしまう自分が情けなくて、ここのところ植物は育てていなかった私であるが、このエッセイに感銘を受けて花を育てることに決めた。シャコバサボテンの開花を願うあまり、無意識のうちに段ボールを動かしていた氏の植物愛に感動したのだ(ボタニカルライフ/96.11月参照)。
影響されやすいたちである。でも、人の文章から実生活に影響を受けるのなんて久し振りのことだ。
メールアドレス取得の報告を皆様にメールするが、兄からしか返事がきてなくて少し寂しい。96年12月ぐらいからインターネットサロンの会員になっていて、これまでネットサーフィンはそこでしていたのだが、なんだか自宅サーフィン派になりそうな予感。(翌日、メールの返事が友達から2通来て、嬉しくて早速返事を書く。)
ハルにもインターネットを勧めたのだが、とりあえずパソコンどころではないらしい。インターネットで繋がれば、電話と違って時差を気にせず会話できるのになあ。どうかハルがパソコンを早く買えるよう、これからカナダのバンクーバーに行く方は『亀井寿司』にお立ち寄りいただき、ハルにチップをはずんであげて下さい。念のためにいっておくが、あやしい店ではないのでセクハラは控えていただきたい。