文月(July)

2000


外国育ちの子どもから見た「ニッポン」
●現(うつつ)の夢
●オトナとコドモの遊び方/ハル親子、カナダへ帰国


外国育ちの子どもから見た「ニッポン」

 カナダで暮らしている友人のハルが、3年半ぶりに帰ってきた。7年前にカナダで結婚して以来、娘とともに2度目の里帰り。先月末に来ていたのだが、お互いの都合が(主に私の)合わずすでに半月。先日ようやく再会とあいなった。

 大人同士はともかく、彼女の娘が大きくなっていて、時の流れを感じるのであった。前会ったときは3歳だったけれど、私のことを少しは覚えてくれているみたいで、ちょっと嬉しい。まずは食事でも、とレストランに入ってあれこれ話をしたが、娘のリナが私に「前は髪の毛長かったよねえ?」と言うのを聞いて、あれえ、ほんとに覚えてるのかな、すごいなと思った。前にみんなでディズニーランドで遊んだとき私は“つけ毛”を付けていたからだ。でも、確かその日ビデオを撮っていたから、何度かそれを見て覚えてたのかな。しかし3歳だった子にとって、初めて訪れた異国はインパクトあったんだろうなあ。今は6歳、2度目の日本に慣れてきたのか元気いっぱい。

 帰国後まだゆっくり買い物をしていないというハルに付きあい、デパートやスーパーの子供服売り場をハシゴする。私の住んでる駅まで来てもらったし、歩きながらハルと話もできるので、ぶらぶらと何軒も回った。しかし、以前はちょっと歩くとすぐ「疲れた」と言っていたハル、母になってタフになったねえ。会ってから遅いお昼を食べ、買い物をし夕食して別れるまでおよそ6時間。私の方が疲れてしまった……。帰ってから仕事の続きをしようと思ったけど、ちとできなかったわあ。

 ところで、6歳のリナが漏らした言葉の中で、印象的だったものがいくつか。

「どうして知らない人とぶつかっても、みんな、ごめんなさいって言わないの?」と母に尋ねる。母ハル、うーんと考えたあと、「ここはね、そういう国なのよ」。ズキ。子どもに日本の痛いとこ突かれたなあ。私が外国旅行から日本に帰ってきたときいつも真っ先に感じるのも、この気持ちなんだよなあ。もう、税関抜けるとすぐ。ぶつかっても謝る人の方が少ない。それまではお互い「Sorry」とか言ってたのに、ここで180度感覚を変えさせられる。数日はその感覚に馴染まないが、そのうちみんなが謝らないからこちらもだんだんそうなっていってしまう。哀しいかな、ニッポン。こんな大人を見ていたら、当然子どももそうなるよな。リナは普段カナダの学校では英語で会話してるんだろうけど、ちゃんと日本語で「ありがとう」「ごちそうさま」も言えるものね。言葉じゃなくて気持ちの問題だよね、これは。

 それと、夕食中に急にカナダのパパ(前回も今回も日本には来ていない)を思い出し、「ダディに会いたいなあ」。「明日電話くれるって」と母ハル。「電話だけじゃなくて、顔も見たいの」。そして今度は私に向かって、「そういうときはね、おじいちゃんの家にあるダディの写真見るんだ」。ダディ、娘に愛されてていいねえ。

 「バンクーバーにいるとね、日本にすごく行きたくなるんだけどね、日本にいると今度はバンクーバーにすごく帰りたくなるの」。

 どっちも、“国”というよりは、そこにいる人たちが好きなんだろうね、きっと。だけど、こんなふうに素直な気持ちを周りの人に話してくれるのも、子どものうちだからかな? 私なんかは周りの大人に自分の思っていることをなかなかうまく伝えられなかった気がするけれど。

 はしゃいで大人にまとわりついてくるのも10代前半ぐらいまでだろうから、それまでに今度は私からバンクーバーに行かなくちゃね。私の身長を超えたら、なんか“一緒に遊ぶ”って感じも薄れるしなあ。あと25センチ、その差はいつ埋まるのかな。
(7/17Up dated)

※なんだかんだ仕事の予定が詰まっているワタクシではありますが、そんなわけでめったに会えるわけではないので、また一緒に出かける約束を。今度はレジャーで、品川水族館行きです。仕事ばかりの夏は味気ないし、最近そういうとこへも仕事でしか行ってなかったので、たまには遊んでこようっと。こう暑いとプールも行きたいなあ。朝顔柄のゆかた買ったから、花火も行きたいし。


●現(うつつ)の夢

 たいがいの夢は目覚めると忘れてしまうが、ときどきやけにはっきりと覚えている夢がある。このあいだ見た夢もそうだった。カナダから里帰り滞在中の、ハルが出てきて、料理の本を欲しがっていたのだった。実際会ったときにそんな話はでなかったが、なんとなく、ハルは本当に料理の本が欲しいのではないのかと思いつつ、その後2回会ったときに聞くのを忘れていた。でもこの間、帰国前に最後に会ったとき、「夢でこんなこと見たんだけど、料理の本って欲しかった?」と聞いてみた。そうしたら。「先週、料理の本買ったよ」。うーん。勘がいいだけなのか、ちょっとした偶然なのか。

 でも私の場合、こういう例がときどきあるのだった。いわゆる予知夢などという大げさなものだとは思えないが、周囲の人間に関わる近未来とか近過去に関連する(と思われる)夢をときどき見るのだ。そしてそういう夢に限ってよく覚えていて、それについてあとで人に聞いたりしてみて、近いことがあったのを知る。

 今年でいうと、山形旅行に行く前。泊まる予定だった旅館が一週間前に火災にあって全焼したとの連絡を受け、その現地のイメージが気になっていたら夢に出てきた。石仏のある小さなお堂の左手に、焼け落ちた現場があった。そしてその後訪れた現地の様子は、その夢のシーンにけっこう似ていたのであった。まあこれは、ある程度地図なんかのイメージもあったからかもしれない。

 思い込みや偶然だといわれようが、もう少しネタはある。もう何年も顔を見ていなかったかつてつきあっていた人が結婚した頃に、私は聞かされていなかったのにそんな夢を見たこともあるぞ。

 ほかには、尊敬する作家にかなりはまっていた頃、その方からハガキが来た夢を見た。そこに書かれていたなんとなく謎めいた言葉まではっきり覚えていて、起きたときは思い出して「変なの」と思っていた。その日だか次の日だか、本屋に行ってある本を開くと、その作家が出ていた。そして、夢で見たハガキに書かれていたのと近いことを語っていた……。これにはちょっと私も驚いた。

 こんなちょっとしたことじゃなくて、なんかもっと社会や自分の役に立つ予知夢や虫の知らせ(?)が見られるといいのになあ。でも、よく覚えている夢はこれからも私にとっては要チェックか!? 夢手帳でも付けようかな……。

(8/1 up dated)


●オトナとコドモの遊び方/ハル親子、カナダへ帰国

 7月末の週末、日本に一カ月滞在していたハル親子がカナダへと帰っていった。

 最初に彼女らと会ったあと、今度は品川水族館に行き、お魚(鯛や鰺を見るとつい「おいしそー」と思ってしまうって、オ・ト・ナ。)や海亀、ペンギン、イルカなどを久々に見て私も楽しんだ。しかしそのあと、ハルの妹の子どもも交えて、水族館周辺の公園で日が暮れるまで遊んだ日は、「子どもってすごい……」と、若いつもりでも身も心も大人な自分を痛感。ぐったり疲れて、その日は夜に仕事なんてとてもできず。

 その後べつの日、ハルの子どものリナが「ウルトラマンショーが見たい」というので私の住む駅まで来たついでに、ちょっとお茶をしたこともあった。会う予定ではなかったが、また会ったらポケモン好きだというリナにあげようと、ポケモンアイス作りのおもちゃと、ビニールリュックを買ってあったので、そのとき渡した。「ありがとー」とにこにこし喜んでいたリナだが、あとでふと、「自分に買っていらなくなったからくれたの? それともリナのために買ってくれたの?」と聞いてきた。「オトナはあんまり自分にポケモン買わないなー」と、ハルと私はちょっと笑った。そういえば初めて会ったときや水族館に行った日、モモのうちわやマクドナルドでもらったキティ、自分用に買ったけど袖刳りが小さかったカットソーなんかをあげたからな。子どもなりにいろいろ考えているようである。自分がもらったからママにお返しをさせようと思ったらしく、「マミーは(私・sesamiに)何をあげたの? もっとあげなさいよ」などと言っていた。

 そして先日、高校の同級生だったミカ親子も交え、最後に会った。オトナ同士もいろいろ会って話はしたかったが、行き先は子どもが飽きないようお子さま向けに。池袋サンシャインでやっていた、機関車トーマスに乗れるイベント。リナも見たいと言っていたが、電車好きのミカの子も大喜びである。しかし一人子どものいない私は、我が子の写真を撮る親バカ二人につきあい、カメラマンに徹するのであった。こういうつきあいでもないと来ないところだし。しかしこういう子どもが盛りだくさんなところを見ていると、保育園や幼稚園のたいへんそうな様子が目に浮かぶなあ……。

 入場料を取ったうえに中で遊ぶ乗り物やゲームでさらにお金を使わせるあこぎな商法に母親たちはちょっとムッとしながらも、ひととおり遊び終え外へ。あとは滞在日数の残り少ないハルの買い物におつきあい。喉が渇いて飲み物を飲んでいる大人たちの傍らで、トーマスの入ったガチャガチャマシン(って言うのか?でもだいたいわかりますよね、お金入れると出てくるあれです)にさっそく目をつけた、ミカの子。マシンの上にある見本が見えないと、お母さんに訴えていた。一瞬大人は見えるじゃん、と思ったのだが、確かに子どもの目線まで腰を落とすと見えない。そこへリナの一言。「うしろに下がれば見えるよ」。うーん、リナ、かしこい。大人は考えつかなかったよ。

 あちこち歩いて疲れて、夕飯を一緒に食べる頃には子ども同士もすっかり仲良くなってふざけあっていたから、大人同士はゆっくり話がいろいろできた。カナダ暮らしの様子も少しは聞けたし。

 帰りの電車は途中までハル親子と一緒で、ラッシュの時間だったが3人並んで座れた。するとリナ、さきほどミカからプレゼントされたドラエモンのお金セットとお財布を取り出し、「お買い物ごっこしよう」。仕方ないのでハルと私も付き合う。「リナが買う人だから、いくらですかって聞いて」「じゃあ今度はマミーが聞いて」「今度はあなたです」とリナ、仕切る。込んでる静かな電車の中で、私たちの「いくらですか?」「100円です」「おつりください」「いくらですか?」「3000ドルです」「ずいぶん高いですねー」と、ちょっとお茶目で間抜けな会話が響く。なるべく小さな声でやってたんだけどね……。ミカがこのお金セットを買ったトイザらスで「リナはどのおもちゃが好き?」って聞いたら「お金が好き」って言ったときはほんとのお金のことかと思ってちょっとびびったけど、こういう真似っこが好きなのね、子どもって。そうこう遊びつつハルとも急いで会話を交わしてるうち、あっというまに自分の駅に。降り忘れそうだった。なんかバタバタしたたけど、電車の窓にへばりついて手を振っていたリナともこれでしばらくお別れ。ハルにも今度はいつ会えるのかな。今度はバンクーバーで、と思ってはいるのだけれど。

(8/1 up dated)
※とまあ、ハル親子ネタばかりの7月でしたが、それ以外は仕事ばっかでしたので。8月はもうちょっと夏らしいことして過ごしたい! とりあえず決まっているのは、いとうせいこうさんが書いた狂言を観に行くことぐらい。全然夏らしくないって? そうそう、ブエナビスタの追加公演があるらしいので、頑張って電話してみようかな!


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