2000
挨拶まわり用のカレンダーを片手に歩くサラリーマンが多い、師走の街。
師走の街にはいろんなものが落ちている。吐瀉物(ゲロ)、子どもの靴一足、片方の手袋、それから、恥。
酔っ払ってしゃがみこんだり、寝ている人も多い。ただ困るのは、具合が悪いのか酔っているのか判断しかねるときだ。 この間の夜、うちの駅で電車を降り帰る途中、ばったりと一人行き倒れて歩道に転がっているサラリーマンがいた。うつぶせに倒れている。一瞬、声をかけようかと思ったのだが、もしや酔っ払いだったら……と躊躇し、大丈夫かと気になりつつもついつい通り過ぎてしまった。頭でも打っていたら大変なんだけど……。この頃へんな人も多いし、東京の地下街などでは倒れている人を見てもみんなあまり声をかけず通り過ぎていく。非情かなとは思いつつも、私もそんな都会の習わしに染まってしまっている。自分が倒れてしまっても誰も声をかけてくれないのかもしれない。いやな世の中だよなあ。
(そういや、私が学生時代に片思いしていた人と同窓会で話したとき、高校生の頃バイト先で酒を飲んで酔っ払い、友人と二人、道端で目覚めたという出来事を聞きましたっけ……。無事だったから笑える話だけどね〜)
道端に片方の手袋や子どもの靴が落ちているのを見るのも、ちょっとさみしい気持ちになる。自分がお気に入りのイヤリングをよく落としたりしてきたし、ものを片方無くしたら、いつもちょっぴりくやしかったりさみしかったりするからだ。「この靴の持ち主の子は悲しがってるかな」などと思う。
そんな師走の先日、私は乗り換えのため電車を降りた。わりあい暖かい日だったので、マフラーを外して上着のポケットに入れていた。降りて数メートル歩いたあたりで、ポケットに入れていた切符を取ろうとして、マフラーがそこにないのに気付いた。振り返るとちょうど、大学生ぐらいの男の子が、「これ」と私のマフラーを差し出してくれていた。私が落とした瞬間を見ていて追ってきてくれたようだ。「ありがとう」と言うと、なんでもないように彼は階段を下りていった。
何気ない親切が身にしみる師走。ふと、あのとき倒れていたサラリーマンに声をかけなかった自分が恥ずかしくなった。いやな世の中だけど、まだまだ捨てたものじゃないはずだ。落とし物は本人に返してあげなくちゃ、ね。
(12/31up dated)***************************************
※仕事に明け暮れているうちあっというまに過ぎてしまった今年。来年はもう少しのんびりやりたい気がします。それに去年は忙しかったので大掃除をさぼってましたので、今年は気合いを入れてやりました。そんな30日、ガス台のうえに乗りながら台所の窓を開けて拭いていると、通路から足音が……。郵便配達の学生でした。私宛の郵便物を届けに来た彼は窓の中の私を見て一瞬びっくりしたようでしたが、私に番地を確かめると窓越しに郵便を渡してくれました。驚かせてごめんね。