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カメライダーのひとりごと


●雑誌「レディス・バイク」掲載文

『愛車自慢』
HONDA GB250・クラブマンについて

ずいぶん前に、当時「レディス・バイク」誌の編集部員だったMUGIKO に頼まれて書いた。
当時私は別の仕事をしていながら、何度か夜や土日に彼女の仕事場の手伝いもしたっけなあ……。
体力あったのね。


 私は裸の男が好きだ──と言っても、別にヘンな意味ではないのだよ。裸=ノンカウル、男=バイク、ってこと。さらに言うなら、チャラチャラしてない大人の男がいい。
 その頃、「私を遠ーく、どこまでも連れてってくれる」逞しいオンロードバイクを探し求めていた。そんな私のオメガネにかなったのが、クラブマン! 何といっても、その大人の魅力に一目惚れ。それに当時はレーサーレプリカ全盛期で、街を歩けばレプリカにぶつかる、ってな具合。他人と同じバイクには乗りたくないという、あまのじゃく根性もあった。結論。決めた決めた、この男に決めた!

 ──思い込んだら恋する女は進むよどこまでも。昼も夜も、愛しの彼を探し回った。そんなある日見つけた、バイク屋の広告。“単気筒のことならおまかせください”。で、おまかせされに行ってみた。そこで彼と運命の出会い。中古でメーターは1万kmを超えてるものの、ピカピカ。見慣れないキャプトンマフラー付きだったが、無知な私は“キャプトン”などという物を知る由もなく、「人と違うのも面白そうだし」と頷く。エンジンをかけると「トントントン……」という音が、心臓のリズムにも似て快い。よし、買った!

 待ちに待った納車日。シートをアンコ抜きしてもまだ両足がベッタリ地面に着かないわが身を呪ったが、なんとか大丈夫そうだ。しかし……怖い。シートからハンドルまでが、やたら遠い。不慣れな前傾姿勢に、背中がつっぱる。前の彼、TLRとは比べ物にもならないほど逞しい。マジで怖いよーと半ベソをかく私に、店員さんは冷たい。「あんなに納車日をせかしたくせに。ホラ、ひとりで走って」。では……とヨロヨロ走り出すが、わずか30mでエンスト。「今日中に乗って帰れよ!」と言われ、ショップの周りで必死で練習。その日はギクシャク走りで、なんとか家まで帰り着いたのだった。

 しかし乗り始めて4日目には信号待ちでナンパされるぐらいであったから、少しはサマになってきてたのだろうか? 並んだ車の助手席から突然話しかけられ、道でも訊かれたのかと思って相手をしてしまった。それにしても、信号が変わるまでの束の間に自分の住んでる地域と乗ってるバイク(SRXだそうだ)の紹介をして、ツーリングのお誘いまでした彼は、ただ者ではない。しかし信号は青になり、私は走り去り、ロマンスは生まれなかった。

 GBを買って3週間後、無謀な初ソロツーリング(東北一周・10日間)を決行。ひとりでキャンプもした。雷で信号も止まる豪雨のなか、山道も走った。シャツの胸元から刺青をのぞかせているオニーサンに道案内してもらったりもした。アクシデントも多々あったが、「私でもやればできるんだ!」という自信が湧いた。

 それまで私はバイクに乗るとき、誰かの金魚のフンでしかなかったけど、GBのおかげでひとりで走る楽しさを知った。それに何よりも、低燃費なのが嬉しい。部品もいろいろ交換時期だけど、とりあえず彼の心臓が止まるまで、一緒に添い遂げたいと思っているのだ。


※その後のGBの運命
'89年春、紀伊半島へのツーリング途中、静岡にさしかかった雨の夜道で道を尋ねに行ってる間に勝手にお倒れになりヘッドライトを全破損(モロこっぱみじん)するも、近くにあった自動車修理工場でなんとか応急修理をほどこされツーリング続行。雨の夜なのでかなり怖かった。/同'89年夏、北海道ツーリング中にはガソリンタンクに数ミリの穴が開き、走行中にガソリンが噴き出す。ひえー。爆発が先か修理が先か。命からがらあわててバイク屋を求めて走り回り、小樽でタンクを取り替える羽目に。初期型はタンクに雨水が入り込みやすい設計だったため、腐食して穴が開いたそうだ。/'93年、何者かにタンクとシート、バッテリーを盗まれる。その後、近所の居酒屋で見覚えのあるシートを着けたGBを発見し警察に通報するが、逃げられて解決せず。その後、タンクだけ新型のものに代える。/'96年、たまにしか乗らないため不調になり、現在では休眠……。心臓停止かも。でも手放せず置きっぱなし、なのです。
(そのうち後日談も書くつもりです。しばしお待ちください)


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