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今夜の番組チェック

巻第八 平成十三年 八月

※初めての方は一番下からお読みいただくと、日付の順に見られます。


■眠れぬ夏の夜(8月)

 この場(平気物語)をお休みして1ヵ月あまり。というのも、「何事にも“平気!”の志をもって取り組もうと心がけていたわたくしが、仕事が忙しく、そうも言っていられなくなってしまったからなのでした。8月上旬はまだプールへ通う余裕があった(先月近所のスポーツクラブへ入会)。しかしお盆前あたりから、何かとキビシクなってきて、そうもしていられなく、お盆もあまり関係なくなってしまった。しかしこれを書いているのはそれから1カ月後、過ぎてみればまた夢のごとし、という感である。それにしても8月末、週に3回ほど明け方まで起きているはめになったのはつらかった。

 そんな厳しい夏であったが、きついスケジュールの中で死守したプライベートタイム(そのためによけい仕事がきつくなったりしたが)で、新鮮だったこともいくつか。(9/15up dated)


●ひとつは、10数年ぶりに知人夫婦と会ったこと。
 お互いに10代末から20代はじめのあたり(青春まっさかり?)は親密にしていたものの、グループづきあいをしていたうちの彼女達が結婚してダンナの故郷に行ってしまって以来、年賀状だけのやりとりになっていた。そんな彼女から8月上旬、初めてのメールが来て、「ようやく我が家もインターネットをはじめました。来週そちらのほうに行くことになったので会えない?」という。世間はお盆だが私の仕事予定はつまっていた。だが、一緒にその大変な仕事で組んでいる友人と、友人夫婦が今回泊まる親戚のうちが歩いてもいける距離とわかり、友人のところへ仕事合宿しにいったついでに、夜少しだけ会うことになった。なにしろ10年以上も会っていなかったから、この機会を逃したらもうしばらくは会えないという気もしたから。

 たった数時間だけの再会だったけれど、彼女達があんまり変わっていなくて、その場だけなんだか昔に時間が戻ったような気がした。共通の友達の消息話、今のお互いの環境なんかの話。ファミリーレストランで過ごし、車での帰り道、10数年ぶりの土地で彼女達は道に迷う。携帯で私は友人宅へ、彼女達は親戚宅へ電話して現在位置を確かめる。なんとか帰還。近くなのにねえ、おかしかった。

 友人宅に戻るとまた仕事。深夜まで。昔を回顧する暇なし。現実は厳しいのだ。


●眠れぬ夜のミステリーナイト、初体験。

 私は初めて参加したのだが、この手のイベントは人気が高いらしい。事件が起こる芝居を見て、犯人を当てるというホテルイベント。以前仕事の先輩が参加して、「すごく楽しいよ。でも犯人推理が大変で、眠れないの」と言っていた。今年は遠出をする予定が無かったので、2カ月前からこのイベントにでも参加するかと予約をしてあった。

 さて当日。甘かった。夜からチェックインした私と友人ヒロは、今から考えるとスタートから出遅れていた。まずお腹がすきすぎていたので、ちょっと腹ごしらえ。それからミステリー劇を見に出席。それから、ミステリーナイトディナー。ここでウエイターさんたちからいろいろヒントをもらう。ここですでに11時近く。ここからが大変。まずは重要な手がかりとなるキーワードを集めに、ホテルの数階をうろうろ。集め終えると、部屋でヒントのビデオを見るのを忘れてさっそくロビーで推理を始めてしまった私たち。やってきた見知らぬ人達と推理の話をしているとき、ビデオをまだ見ていないことに気がつき、あわてて部屋へ戻る。しかし、あわてていて反対側の部屋にキーを差し込んでしまい、「開かない」と大騒ぎ。ルームナンバーを見て、はっと気がつき、あわてて戻る。大迷惑。

 そんなこんなですぐ2時。しかしなあ、もっと簡単なものだと思っていたが、これが難しい。犯人を当てるだけでなく、“部屋が動く屋敷”という仕掛けを考慮して、トリックをも当てなければならない。そこに15年前の事件もからむ。うーむ。部屋の動きにばかり気を取られ、頭が混乱。3時ごろからだんだん思考能力がにぶくなってくる。「逮捕状」として各自に渡されている解答記入紙は、学校のテストを思い出させる内容。「AとBを埋めよ」「犯人が外でしたことを5つあげよ」。ううう。結局、逮捕状提出締切の朝4時ぎりぎりまで考えて、半分もまともな答えを書けなかった。倒れ込むようにして寝る。

 翌日、目覚ましに気付かず寝坊。ホテルの遮光カーテンの効果はすごい。カーテンを開けるとまぶしい夏の日差しが差し込む。あわただしく着替えてフロントへ。なんとかチェックアウトに間に合う。それから、昼近くまで開いている朝食のティールームへ。ふう。休暇どころか疲れに来たような……。ティールームの隣の席では、学会の学者さんたちか何かだろうか、朝から難しい話をしていた。

 犯人とトリックの開示と表彰式がその後行なわれた。けっこう合っている人がいたらしい。すごいなあと感心。ミステリー劇にも登場した九十九一が、「今回は作家の綾辻行人さんも参加されています。犯人は当たらなかったそうで、ざまあみろ。あそこでうなだれているのがそうです」などと茶化していた。ミステリー作家にも難しかったのかあ。私はと言えば当然はずれ。ヒロは、適当に書いた犯人だけは合っていた。

 しかし、起きているときあれだけ考えて頭を整理できなかったのに、数時間の睡眠中、夢の中で私の推理は続いていた。それは起きているときにはあまり考えなかったこと。犯人は正解だった。そして、ちょっとおしかったが、部屋の意外な動き方も正解に近いものがあった。なんで起きているときに考えつかないんだろう。
 あわただしい休暇であった。


あとひとつ、久しぶりの体験は、乗馬。

 毎年お互いの誕生日だけは欠かさず祝いあっているU子から、今年の誕生日の祝いついでに会うとき「乗馬体験に行ってみたいんだけど」と言われる。3000円ぐらいでできるらしい。乗馬は最近していないけれど、22歳のころ乗馬ペンションでバイトしていたときに10鞍ぐらいは仕事の合間に乗らせてもらっていたし、馬は好きなほうだ。久々の乗馬の機会に、喜んでおつきあい。しかし、その乗馬クラブに行くのに早起きしなければならない。がんばって起きたが、電車の乗り継ぎに遅れないよう朝から走る。乗馬前にすでに汗だく。クラブで指導してくれたのは、関西弁の若いお兄さん。初心者のU子の緊張感をほぐす面白トークで笑わせてくれる。だが私も、以前乗ったことがあるといってももうずいぶん前のこと。昼前で食事をおあずけされていてヨダレをだらだら垂らしまくっているくいしんぼうの馬にまたがり、「手綱を両手放して、はい、馬上体操」と言うお兄さんの声にちょっと緊張。でもなんとか並足、速足まで2人ともできるようになり、体験時間終了。またまた汗だくだく。帰りにTシャツを買い替えてしまった。

 翌日から数日間、足が筋肉痛だったのは言うまでもない。
 そんなこんなであわただしく過ぎていった、今年の夏だった。


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